日本の伝統的行事で年の初めのお正月。
このお正月にはいろんな伝統があります。
その一つのおせち料理。
「たぶん、何か意味があるんだろうなぁ」
っていうくらいの事はあなたも知っていたと思います。
ただ、実際はよくわかってない。
心配しないでください。
ほとんどの人がそうです。
でも、せっかく調べようとしてくれたあなたのご期待に応えるためにおせち料理の意味を解説します。
おせち料理の意味が知りたい!由来はいつ?
実はおせち料理が今の形でしっかりと固まったのは第2次世界大戦後の事なんです。
奈良時代からその原型は始まっていましたが、そのころは「おせちく」や「おせつく」などと呼ばれていたそうです。
それが江戸時代頃から正月の料理として庶民の間でも親しまれ始めました。
このころはお膳で食べられていて、今のように重箱に詰めてという文化はまだ生まれていませんでした。
明治時代以降にはお正月におせち料理を食べることが庶民の間でも広まります。
実際に重箱におせち料理が詰められるようになったのはこの明治時代以降になります。
第2次世界大戦後にデパートでおせち料理が売り出された事で、重箱に詰める文化が完全に確立したと言われています。
そもそもこのおせち料理自体の意味は
「お正月の間、女性を休ませてあげる」
という意味やまた、
「火の神様を怒らせない為、お正月はお雑煮以外で火を使ってはいけない」
などのようないわれがあり、お正月の間日持ちする料理であるおせちを食べて過ごすという意味が込められています。
また、お正月のお祝いらしく、今から始まる1年への願いが込められていてそのおかず一つ一つにも意味があるんです。
おせち料理の意味が知りたい!なぜ重箱?
まずは「なぜ重箱??」というところからですね。
あなたも普通に感じることかもしれませんが、重箱自体にめでたさって感じますよね。
まさにその「めでたさ」を際立させる為のものなんです。
「重箱に詰める」=「めでたさを重ねる」という意味になります。
正式には外側が黒塗りで内側が朱塗りになります。
この重箱を重ねているイメージも何となく知っている通りだと思います。
組重は、本来は五段重であったとも言われていて、この五段重を正式としている説もあります。
ただ、最近では四段重が普通で、この四段重を正式なものとしている説もあります。
四段重は春夏秋冬を表すと言われたり、完全を表す「三」にさらに一つ重ねる意であるとも言われているんです。
一方で、五段重における五の重は土用を表しています。
ただ、五の重の内容については諸説あって、五段重を用いる場合、来年こそは重箱を一杯にできますようにという意味で五の重には実際には詰めることはしないとするもの、なますや酢の物を詰める重であるとするもの、「控えの重」として多めに御節料理を詰めたり、家族の好物を詰めるために用いられる重であるとするものなどがあります。
また、組重の四段目については四(し)が「死」を連想させ不吉で縁起が悪いことから「与の重(よのじゅう)」と言われています。
最近では、三段重や二段重といった略式のものも多くなってきていて、冷蔵庫に入りやすいようにと一段重のものも売られています。
重箱の詰め方にもしきたりがあるんです。実は。
○四段重の場合
一の重:祝い肴のうち三つ肴と口取り
二の重:焼き物
三の重:煮物か酢の物
与の重:酢の物か煮しめ
○五段重の場合
一の重:祝い肴
二の重:口取り
三の重:鉢肴、あるいは海川の幸、または焼き物
与の重:煮しめ
五の重:諸説あり
そして、それぞれの重箱の品数が奇数と決まっています。
おせち料理の意味が知りたい!おかず別のいわれは?
お正月に食べるものなので、縁起をかついでおかず一品一品にも、いわれや由来があります。
それを一覧表にしましたので、参考にしてみてください。
料理名 | いわれ | |
祝い肴 (口取り) | 黒豆 | 黒豆をしわが寄らないように甘く煮る。 黒く日焼けするほど達者(マメ)に働けるようにと邪気を払い長寿と健康(無病息災)を願ったもの。 また、黒色には邪気を払うという言われがある。 |
数の子 | 数の子は卵の数が多く、また、ニシンは「二親」に通じ、五穀豊穣と子孫繁栄を願ったもの。 | |
田作り (ごまめ) | カタクチイワシを田の肥料としたところ五万俵ものコメが収穫できたとのいわれに由来している。 「ごまめ」は「五万米」であり「田作り」の名とともに五穀豊穣を願ったもの。 | |
たたきごぼう (酢ごぼう) | たたきごぼうは瑞鳥(豊年の象徴)を表したもので豊作と息災を願ったもの。 また、ごぼうは地中に深く根を張ることから用いられる。 | |
紅白かまぼこ | 形状が初日の出の形に似ることから用いられる。 赤色は魔除け、白色は清浄を意味している。 紅白の色が縁起が良いとされる。 | |
伊達巻 | 巻物に似た形から文化、学問、教養を持つことを願う。 | |
栗きんとん | 金銀財宝を意味しており金運を願ったもの。 | |
焼き肴 | 鰤(ぶり)の焼き物 | ぶりは出世魚で、出世を願ったもの。 |
鯛の焼き物 | めでたいの語呂あわせ。 | |
海老の焼き物 | ひげが長く腰が曲がっている様から長寿を願うもの。 また、脱皮することから出世を願うもの。 生命の更新を意味する。 | |
鰻の焼き物 | 出世を願う。 | |
酢の物 | 紅白なます | 大根と人参を用いたなます。 祝い事に用いる紅白の水引にあやかる。 |
ちょろぎ | 植物の根をシソ酢で赤く染めたもの。多くの場合、黒豆と共に盛り付けられる。 「長老木」、「千代呂木」あるいは「長老喜」の字をあて長寿を願う | |
酢蓮(すばす) 酢レンコン | 穴が多数ある蓮根は将来の見通しがきくという意味の縁起かつぎである | |
煮物 | 昆布巻き | 煮しめの中の材料としても用いられる。身欠きニシンなどの魚を昆布で巻いて干瓢で結ぶ。 「喜ぶ」の語呂合わせ。 また、昆布は「ひろめ」あるいは「えびすめ」とも称された。 「ひろめ」は末広がりである昆布の形状に由来する。 また、「昆布」に「子生」の字をあて子孫繁栄を願ったものともいわれる。 昆布巻きは伊達巻と同じく巻物(書物)に似た形から文化・学問を象徴する意味を持つ。 |
陣笠椎茸 | 煮しめの材料の一。陣笠椎茸は椎茸の傘を陣笠に見立てたもの。 | |
楯豆腐 | 煮しめの材料のひとつ。 楯豆腐は豆腐に焼き目を付けて楯に見立てたもの。 | |
手綱こんにゃく | 煮しめの材料のひとつ。 手綱こんにゃくはコンニャクを手綱に見立てたもの。 薄く切ったコンニャクに縦に切り目を入れ、そのなかに片端をとおす。 | |
芽出しくわい | 最初に大きな芽が一本出ることから「めでたい」にかけたもの。 芽が出ることから出世を祈願したもの。 また、古くは平仮名の「か」を「くわ」と表したので、くわい=かい=快から、一年を快く過ごせるように。 | |
花蓮根 | 穴が空いていることから将来が見通せるようにとの意味のほか、花蓮根には花の後に実を結ぶようにとの意味がある。 | |
矢羽根蓮根 | 破魔矢の矢羽根に見立てたもの。 | |
八ツ頭 | 親イモが大きいことに因んで頭(かしら)になることを願うもの。 また、里芋は親芋に子芋がたくさん育つことから子宝を願ったものとされる。 | |
金柑 | 「ん」は「運」に通じ、運を重ねるの意。 財宝としての「金冠」を意味している。 | |
梅花にんじん | 型で抜くか、包丁で5角形の梅のはなびらがたにしたもの |
まとめ
日本の代表的な食文化のひとつでもあるおせち料理には様々な意味が込められています。
そのひとつひとつの願いを知っておいて食べると、もっと楽しくおいしくなるかもしれませんね。